3組に1組が離婚(?)

人生は山あり谷ありです。
良い時も、そうでない時も、夫婦で協力して「幸せな生活」を送ることが出来ればそれに越したことはありません。
愛し合って結婚したはずなのに、いつしかスレ違いが生まれ、結婚生活を継続出来なくなる状態にまでなることもあります。
日本における直近の「結婚と離婚の統計」は、以下の状況です。

年度年間婚姻件数年間離婚件数
令和元年599,007組208,496組
令和2年525,507組193,253組
令和3年501,138組184,384組
厚生労働省人口動態調査より

令和元年から令和3年の年間婚姻件数と年間離婚件数の平均は、結婚件数が、541,800組、離婚件数が195,300組です。
単純計算をすると、結婚した組数の36%(3組に1組)が離婚している計算になります。
※結婚したカップルが、その年に離婚した訳で無いため、正確な離婚率ではありません。あくまで、結婚数と離婚数の比較です。
 ある年に結婚した夫婦のその後を追跡して、X 年後に離婚した、と云うような統計データの集計が無い状況です。
そして、毎日530組の夫婦が、日本のどこかで離婚をしていることになります。

離婚の原因はなに?

ところで、愛しあって結婚したのに、残念ながら「離婚」してしまった夫婦の「離婚原因」はどこにあったのでしょうか?
裁判所において「家事裁判」を集計した司法統計データによると男女で多少の違いはあるものの、離婚原因の第1位は「性格の不一致」となっています。
離婚原因のNo1~No5までの内容を、男女別に掲載しておきます。

No     離婚の原因・理由(男)割合
性格の不一致31.9%
精神的虐待11.2%
異性関係6.8%
家族親族と折り合いが悪い6.5%
浪費する6.5%
令和3年度司法統計_男性の離婚原因トップ5
No     離婚の原因・理由(女)割合
性格の不一致20.5%
生活費を渡さない17.1%
精神的虐待14.2%
暴力を振るう10.6%
異性関係7.6%
令和3年度司法統計_女性の離婚原因トップ5

男女で1位「性格の不一致」

司法統計の調査方法は、離婚の原因について最大3つを選択するという方式です。男女ともに離婚原因のトップが「性格の不一致」ですが、この結果をもって離婚の多くは「性格の不一致」が決め手だとは言えないと思います。
確かに、一緒に生活を続けていくうえで「気(性格)が合う」「気(性格)が合わない」は、とても重要なことだとは、思います。
仮定の話しではありますが、司法統計の調査方法を変更し、「離婚原因を1つだけ選択」となったら「性格の不一致」の順位が下がる可能性があると思います。

男2位、女3位の「精神的虐待」

いわゆるモラルハラスメントのことですが、「男性の離婚原因の2位」になっている点をどのように解釈したら良いのでしょうか?
モラハラは、別の言い方をすれば「精神的な暴力等による嫌がらせ」と表現出来ると思います。具体的には、①相手を言葉で責める。
②相手のミスを執拗に責める。③自分はいつも正しく間違っているのは相手と決めつける。④相手の行動をいつも否定する。⑤相手を異常に束縛する。というような状態が続くような場合に「精神的な虐待」といえると思います。男女平等となって、女性の社会進出が進みました。結婚している男性が、何らかの理由で妻から「精神的虐待」を受けているということですネ。なかには束縛されることを極端に嫌うタイプの男性がいますので、愛されるが故の気持ちのスレ違いということでしょうか・・・。

男3位、女5位の「異性関係」

夫が浮気している、妻が不倫している。そんな時に選ばれるのがこの離婚原因です。いわゆる「不貞行為」といわれるものですが、それは「配偶者のある者が、自由な意思に基づいて配偶者以外の異性と性的関係を持つこと。」と定義されます。したがって、独身であれば、仮に複数の異性と性的関係を持ったとしても、それは恋愛であり、不貞行為ではないといえます。
異性関係が原因での有責配偶者(不貞をした側)からの離婚請求は、裁判所は原則離婚を認めてくれません。(当然ですよね)
異性関係が原因で有責配偶者(不貞をした側)から離婚請求をした場合の裁判離婚では、
①夫婦の別居期間が相当長期に及んでいること
②夫婦間に未成熟の子供がいないこと
③離婚によって相手方配偶者が精神的・経済的に苛酷な状況にならないこと
という3つの条件を満たした場合には例外的に認めるとされた判例があります。

離婚しないためには?

相手のことを尊重すること

そもそも男女は脳の作りが違うため、お互いに全く同じ考えや行動をとるほうが難しいそうです。一般的には、男性は脳の構造上ひとつのことに集中する傾向があり、女性は多くのことを同時に考える器用さを持ち合わせているとされています。
男と女は「基本的な部分が違うため、考え方が違うのは当たり前。」と考えて、相手の言動に理解できないことがあっても、相手を否定することはやめましょう。相手を尊重する気持ちを忘れずに!!

会話をすること

夫婦なんだから「話さなくても理解出来るだろうー。」は、大間違いです。言葉にして、話して初めて伝わるものです。夫婦といえども神様ではありません。きちんと言葉にして話して、ようやく伝わるかどうか・・・?というレベルです。
「伝える」は、こちら側の意図であり、「伝わる」は、相手側の理解です。相手の気持ちになって話すことで、今迄よりも会話がはずむかもしれません。何気ない会話が、とても大切です。そして、相手の話しに耳を傾ける努力をしましょう。

我慢をし過ぎないこと

「夫婦喧嘩は犬も喰わない。」という諺(ことわざ)があります。
これは「犬は、食べない物がほとんどない。その犬ですら夫婦喧嘩には見向きもしない。」といところからの諺(ことわざ)です。
夫婦の喧嘩は、たいがい些細(ささい)なことが原因で起こり、すぐに仲直りするものである。だから、ほっときなさいと・・・。
夫婦のことは、夫婦に任せておけば丸く納まる。という見解ですネ!!
夫婦は、「お互いに我慢し過ぎず、適度に喧嘩する。」方が、じつは仲良く暮らせる秘訣かもしれません。

それでも離婚する時は

出来るだけ離婚はしない方が良いと思います。人間は、理性と知性の動物ですが、感情の動物でもあります。
一時的にどうしても許せない気持ちになって、感情が爆発してしまうことがあることも事実だと思います。でも、時が解決してくれることもあります。時間をおくことによって、理性的になり、穏やかな心であれば、許せる気持ちに落ち着くことが出来るでしょう。

しかし、「どうしても許せない。」「もう一緒に居ることが耐えられない。」というような状態になり、時間をおいても修復が困難な夫婦関係になってしまうこともあるでしょう。そのような場合は、離婚することも選択肢の1つかもしれません。
お互いに話し合い、それぞれが「元の別々の生活に戻る」ということを選択するのが協議離婚です。

離婚協議書の作成について

離婚協議で揉めてしまい裁判をするような状況の場合は、行政書士は対応致しません。
そのような場合は、知合いの弁護士をご紹介致します。当事務所は、行政書士事務所です。
離婚については、ご相談を受けて「離婚協議書作成」のお手伝いを致します。あくまで、協議離婚のお手伝いです。
いずれにしても、お話しをお聞きしたうえで対応させていただきます。

離婚協議書は、離婚する時や離婚した後に、慰謝料、財産分与、子供の親権・養育費等についての約束事をまとめた書面のことをいいます。
離婚時に口約束だけで慰謝料や養育費の支払いを決めてしまった場合、後になって約束が守られないケースもあります。離婚時に「離婚協議書」を証拠として残しておくことは非常に重要なことでもあります。
また、離婚協議書を公正証書にすることにより、高い証拠能力と、後日になって、もしも慰謝料や養育費の支払いが滞った場合等に強制執行が可能となります。
ここでは「離婚協議書」の書き方、及び「公正証書離婚協議書」にする手順をご案内致します。

離婚協議書の作成内容について

離婚する相手側と協議によって離婚する場合、一般的に「離婚協議書」を作成すると良いでしょう。
まずは、離婚する相手と話し合って、離婚内容を決めることになります。話しあうべき内容は、主に以下の内容になると思います。
①お互いが離婚に合意した旨について
②親権者にどちらがなるのか、その指定について
③養育費の支払いについて
④慰謝料の有無について
⑤財産分与について
⑥子供との面接交渉について
⑦年金分割について
⑧公正証書にするか否かについて
⑨清算条項について
これ以外に、特別な事情があれば、それらを追加したら良いと思います。
そして、「離婚協議書」は、必ず「公正証書」として作成しておくことをお薦め致します。

なぜ離婚協議書を「公正証書」にした方が良いのか?

離婚時に口約束ではなく離婚協議として、話し合った内容を書面にすることで、当事者はこの内容を遵守する義務と権利を得ます。
ただ、相手側が約束を守らないときは、裁判に訴えを提起して勝訴判決を得る必要があります。
離婚協議書を公正証書化するとこのような裁判手続きを省略することが出来ます。これが、公正証書の効力といえます。
公正証書は、公証人が当事者に合意内容を聴き取り、これを書面化した公文書のことを言います。
高い証明力を持ち、相手が金銭の支払いを怠った場合は裁判所の判決を待たず、直ちに強制執行手続きに移ることができます。
つまり、離婚協議書を公正証書にしておけば、すぐに強制回収をする手続きが可能になるからです。

離婚協議書を公正証書にするための必要書類

離婚協議書を公正証書にするために必要となる書類は、概ね以下の内容になると思います。必要に応じて追加となります。
①離婚協議書(原案)
②戸籍謄本(夫婦双方のもの)
③印鑑証明書及び実印(夫婦双方のもの)
④身分証明書(運転免許証・マイナンバーカード・パスポート等)
⑤財産分与に不動産が有る場合は、不動産の登記簿謄本・物件目録等
⑥年金分割を行う場合は、年金通帳と年金分割のための情報通知書

公証役場にて「公正証書離婚協議書」を最終確認する

「離婚協議書」原案と必要書類一式を揃えて、公証人役場に出掛けましょう。ご夫婦で公証人と面談のうえ、公正証書案の最終確認を致します。しかし、このような事務作業を、離婚されるご夫婦で協力して行うのは、実際問題ハードルが高い作業になると思います。
そのような時は、専門家に依頼して事務手続きを進めることをお薦め致します。少し、費用はかかりますが、精神的な負担や苦労を考えれば、その方がスムーズに進行出来るのではないでしょうか・・・。
当事務所は、ご相談をいただいた時点から、最終の「公正証書離婚協議書」の作成完了までをトータルにサポート致します。