死後事務委任契約とは、どんな契約なのかご存知でしょうか?
死後事務委任契約とは、ご自分の死後の事務について信頼できる第三者を委任者として託しておく生前契約です。
人が亡くなると葬儀や埋葬、費用の清算等たくさんの手続きが発生しますが、通常ならば親族が対応するのが前提となっていると思います。
厚労省の人口動態調査統計データによると、令和元年の日本の総世帯数は、5,178万5千世帯です。その内、高齢者世帯数が1,487万8千世帯です。日本の総世帯数の28.7%約3割が高齢者世帯になっています。
現在の日本は、超高齢社会となり、頼れる親族のいない単身世帯も大変増えております。このような社会背景から死後事務委任契約の必要性が高まっているといえます。
また、高齢化の進展にあわせて老々介護世帯も増加しています。家族がいないわけではないが、残された者に負担をかけたくないとの理由から死後事務委任契約を採用されているシニアの方も増加しています。


死後事務はどんな方に必要か?

おひとりさま

令和2年の統計データによると、65歳以上の世帯の内、単独世帯が占める割合は、28.8%です。これは、高齢者世帯の内、約3割の世帯が、いわゆる「おひとりさま」ということになります。お一人様や子供のいないご夫婦等、身近に頼れるご家族がいない方は、死後事務委任契約を検討していただきたいと思います。

高齢者世帯

家族や親族はいるが、誰もが高齢のため事務手続き(葬儀の手配からその後の行政手続きや各種事務処理等)を任せるのが困難な場合にも死後事務委任契約が有効だと思います。

家族や身内に負担をかけたくない方

身寄りが無いわけではないが、事情があって疎遠になっている場合や、遠い外国で生活している等の理由から、身内に負担をかけたくないという方も増えています。このような場合も、死後事務委任契約は有効だと考えます。

内縁関係にある方

死後事務は、家族や親族であれば別段契約書がなくても対応できるものです。ところが、パートナーが法律婚ではなく事実婚(内縁関係)の場合は、カップルであることを証明する公的な書面がないことが多いです。このような場合は、「遺言」と合せて「死後事務委任契約」を準備しておかれることをお薦め致します。

死後事務委任契約の内容について

死後事務委任契約で依頼者が、受任者に頼む具体的な事務(手続き)にはどんな内容があるのでしょうか?
ここでは、実際に行われている具体的な内容を一覧表に記載致します。依頼者と受任者の相談・打合せによって、取捨選択が可能になっているのが一般的なようです。

      手続きの内容                    備考
死亡直後の緊急対応手続き病院への駆け付け、遺体の搬送手配など
葬儀・火葬手続き希望に応じて「直葬」から一般の「葬儀」手配など
遺骨の手続き希望に応じて「散骨」から「お墓への納骨」まで
行政機関への手続き死亡届の提出、健康保険証や介護保険証の返納、年金手続き、マイナンバーカード返却など
連絡対応手続き事前に指定された連絡先への訃報連絡、場合によっては勤務先の退職手続きなど
病院・施設の退去手続き入院費用の清算、施設等の利用契約の解約、費用の清算など
不動産の賃貸借契約解約・明渡し手続き状況に応じて残家賃の清算など
住居内の遺品整理手続き家財道具、遺品の整理・処分、形見分けなど
電気・ガス・水道の手続き生活インフラ(電気・ガス・水道)の解約手続き・費用の清算など
携帯電話、電話、ネット契約等の手続き携帯電話、電話、ネット、テレビ等の契約解除と費用の清算など
クレジットカード等の手続きクレジット会社契約解除と費用の清算など
医療保険の手続き医療保険の解約と清算など
住民税等税金の手続き未納分の税金があれば、その納付手続き
特別手続き上記以外の依頼事項など(例:ペットの保護、飼育先斡旋など)
死後事務の具体的な事例

上記の事務手続きは、依頼者の希望に応じて取捨選択が可能ですが、行政機関への手続きを含めて最低限の死後事務については押えておく必要があります。

死後事務委任契約の注意点

契約のタイミング

死後事務委任契約は、他の一般的な契約と同じで、委任者の判断能力が充分にあるあいだにしなければなりません。例えば、本人が認知症になってからでは、契約することは出来ません。身近に信頼出来るご家族がいない方は、なるべく早めに契約されることをお勧め致します。

受任者の信頼性

死後事務委任契約は、生前に「ご本人の死後の事務を信頼できる人に依頼しておく」と云う性格の契約です。ご本人は、亡くなった後のことを、ご自分で確認することが出来ません。したがって、委任する相手は、信用出来る人でなければなりません。

死後事務委任契約の費用

死後事務委任契約にかかる費用は、一般的に①契約書作成費用、②公証人費用、③死後の事務手続き執行に関する費用の3種類です。
①と②については、契約時に支払います。③については、清算の方法がいくつかあります。最も多いのが、「契約時に預託金を預ける方法」です。ただ死後の状況を確認することが出来ないだけに、お金を先に預けるのは気掛かりという方もいます。その他には、「遺産から清算する方法」「保険金を利用する方法」等の方法があります。

以上、3項目の注意点については、特に留意のうえ相談を進めるようにして下さい。
「死後事務委任契約書」(案)を、アップロードしておきます。参考にしていただければ幸いです。

死後事務委任契約書作成の手順

ここでは、死後事務委任契約書(公正証書)作成の手順をご案内致します。参考にして下さい。

ステップ1(ご相談)

お電話、又はメールでご相談下さい。ご連絡をいただきましたら、面談日や面談場所の調整をさせていただきます。初回のご相談は、無料ですのでご安心下さい。相談者様との面談を重視しています。お客様の希望や現状について、丁寧にヒアリングをさせていただければ助かります。死後事務委任契約でのご質問や疑問点にお答え致します。

ステップ2(見積書の提出&契約)

ご相談内容を踏まえて「死後事務委任契約書」の作成費用に関する見積書をご提示致します。お見積り金額でよろしければ、ご契約手続きのうえ、業務を開始致します。内容によっては、着手金をいただく場合がございます。その場合は、見積書にて事前にご提示致しますので、ご安心下さい。

ステップ3(詳細打合せ)

お客様と死後事務の受任予定者様をまじえて、具体的な死後事務の内容や範囲等を検討のうえ、それを決定致します。死後事務の内容については、一般的な内容はあらかじめご提案致しますが、お客様からのご希望があれば事務内容に追加する形となります。それぞれの事務手続きにかかる費用を試算し、死後事務の経費見積金額、及び死後事務受任予定者の報酬もこのタイミングで決定致します。

ステップ4(死後事務委任契約書案のご提案)

ステップ3の詳細打合せの決定をベースに「死後事務委任契約書(案)」をご提示致します。内容をご確認いただいたうえで修正等があれば、契約書案の修正を致します。契約書(案)がまとまったら、公正証書作成の手続きを取らせていただきます。公証人役場との打合せを踏まえて「死後事務委任契約案(公正証書)」をご提示致します。内容を確認いただき問題が無ければ、公正証書契約の作成へ進みます。

ステップ5(死後事務委任契約・公正証書の作成)

お客様に公証人役場までご同行をいただき「死後事務委任契約・公正証書」の作成を致します。あらかじめご案内している公証人の手数料(実費)の清算をお願い致します。

ステップ6(業務の終了)

公証人役場で「死後事務委任契約書」が完成しましたら、契約書作成業務が完了となります。今回の依頼業務で残金がありましたら、お支払いをお願い致します。
死後事務委任契約は、基本的には親族が行うのが一般的です。ただ、諸事情(ご高齢や病気等)により親族に頼むことが出来ない場合も多々あります。そのような時は、是非ご相談下さい。場合によっては、信用のおける受任者のご紹介も承ります。