成年後見制度や後見人という言葉を聞いたことがあるかと思います。
それでは、成年後見制度とは、どんな制度でしょうか・・・?また、後見人とは何をする人でしょうか・・・?
ここでは、簡単に記載しておくように致します。詳細のご案内が必要な方は、お問合せをお願い致します。

成年後見制度とは

一言で表現すると「ある人の判断能力が不十分な場合に、その判断能力を補い、その人の権利や利益を保護する制度」です。
高齢になって認知症になってしまうこともあるでしょう。また、病気や事故で脳に重い障害を負ってしまうケースもあります。
誰しも「判断能力が不十分な状態になってしまう可能性がある。」といっても過言ではないでしょう。
もしも、判断能力が不十分になってしまった場合は、介護サービスを受けたり、介護施設に入所したりすると思います。
身近に親族がいれば、本人に代わって入所の手続きや契約等をして貰えると思います。
しかし、なかには身近に親族がいなかったり、いても遠方だったりします。いわゆる「お一人様」と呼ばれる状態です。
このような方を保護支援し、本人の利益を一番に考え、本人の判断能力が不十分な点をサポートする制度が「成年後見制度」です。
※判断能力とは、契約などをする際に、その行為が自分にとって有利なのか不利なのか、適正なのか否かを考えられる能力のことです。

成年後見の種類

成年後見制度は、「法定後見制度」「任意後見制度」に大別されます。
それぞれを、簡単に説明致します。

法定後見制度

法定後見とは、本人の判断能力が不十分な状態になっている状況で、本人の家族等が家庭裁判所に後見開始の申立てをおこない、家庭裁判所の審理を経て、審理の結果、後見制度が必要な場合、家庭裁判所が後見等の開始の審判をし、裁判所が最も適任と考える人を後見人に選任します。直近の申立て件数は、39,319件で、認容は37,582件(95.6%)でした。(令和3年の実績)
法定後見では、本人の判断能力の程度に応じて「補助」>「保佐」>「後見」という順番で類型化されています。
本人の判断能力が不十分な「補助」から、著しく不十分な「保佐」へ、そして判断能力が全く無い場合が「後見」となります。
そして、これらの人をサポートする人を、それぞれ「補助人」「保佐人」「後見人」と呼びます。


※申立ての際に、申立人が自分を後見人の候補者として申し出ることは可能ですが、最終的に誰を後見人に選任するかは、家庭裁判所が本人の利益を第一に考慮して決定します。
※後見人の属性は、本人の配偶者、親、子、兄弟姉妹、等の親族が成年後見人等に選任されたものが全体の約20%を、親族以外の第三者が成年後見人等に選任されたものは、全体の約80%となっています。(令和3年の実績)

任意後見制度

任意後見とは、本人の判断能力がまだ正常の段階で、将来、判断能力が衰えてしまった時に備えるための制度です。
本人に十分な判断能力がある時期に、例えば将来に認知症なった時に備えて、本人が選んだ「任意後見人」に、自分の療養看護や財産管理などについて代理権を与える「契約」をすることです。
本人と任意後見人になる人がする契約を「任意後見契約」といいます。
任意後見契約は、公証人の作成する「公正証書」で締結しなければなりません。任意後見の効力は、本人の判断能力が不十分になってからスタートします。任意後見契約を開始するには、任意後見人を引受けた人や親族が、家庭裁判所に「任意後見監督人」の選任を申立てし、任意後見監督人が選任された時に開始します。
「任意後見」のメリットは、あらかじめ信頼出来る人を「後見人」として契約出来る点である。

後見人がする仕事はどんなこと?

後見人が行う仕事は、具体的には以下のような仕事になります。
①老人ホームや介護施設の入所契約や病院との入院契約など。
②本人の銀行預貯金の管理。
③年金や保険金の請求や受取り。
④本人の日々の生活費を本人の財産から支払う。
⑤遺産増続(親族の死亡等で本人が相続人の場合、遺産分割や相続放棄をおこなう。)
⑥不動産の管理(本人が不動産を所有している場合は、その不動産を管理します。)
⑦動産・有価証券の管理
⑧裁判(必要がある場合には、本人の代理人として裁判も出来ます。)
⑨税務申告(本人に代わって相続税や所得税の申告をする場合もあります。)

後見人の費用はどれくらい?

成年後見人に対する報酬は、申立てがあったときに審判で決定されます。専門職(弁護士、司法書士、社会福祉士、等)が成年後見人に選任された場合について、標準的な目安は以下の内容です。

項目 月額報酬額 備考
基本報酬月額2万円財産管理額1,000万円未満
基本報酬月額3万円〜4万円財産管理額1,000万円超〜
財産管理額5,000万円以下
基本報酬月額5万円〜6万円財産管理額5,000万円超
付加報酬基本報酬額の50%の範囲内での増額後見事務において、身上監護等に
特別困難な事情があった場合
東京家庭裁判所:平成25年1月

以上、簡単に後見制度について記載致しました。より詳しい内容についてのご相談やお問合せについてはこちらにお問合せ下さい。