永住許可(入管法第22条)

永住許可は、在留資格を有する外国人が永住者への在留資格の変更を希望する場合に、法務大臣が与える許可であり、在留資格変更許可の一種といえます。
永住許可を受けた外国人は、「永住者」の在留資格により日本に在留することになります。在留資格「永住者」は、在留活動、在留期限のいずれも制限されないという点で、他の在留資格と比べて大幅に在留管理が緩和されます。このため「永住許可」については、通常の在留資格の変更よりも慎重に審査する必要があることから、一般の在留資格の変更許可手続きとは独立した規定が設けられています。

永住許可のガイドライン

法律上の要件

(1)素行が善良であること
   法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいること。
(2)独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
   日常生活において公共の負担にならず、その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること。
(3)その者の永住が日本国の利益に合すると認められること
  ア、原則として引き続き10年以上本邦に在留していること。ただし、この期間のうち、就労資格(在留資格「技能実習」及び「特定
    技能1号」を除く)又は居住資格をもって引続き5年以上在留していることを要する。
  イ、罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。公的義務(納税、公的年金及び公的医療保険の保険料の納付並びに出入国管理及び難民
    認定法に定める届出等の義務)を適正に履行していること。
  ウ、現に有している在留資格について、出入国管理及び難民認定法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留し
    ていること。
  エ、公衆衛生上の観点から有害となる恐れがないこと
 ※日本人、永住者又は特別永住者の配偶者又は子である場合には、(1)及び(2)は適用除外。また、難民認定を受けている場合は、
  (2)は適合除外です。

★原則10年在留に関する特例

(1)日本人、永住者及び特別永住者の配偶者の場合、実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上本邦に在留して
   いること。その実子等の場合は1年以上本邦に継続して在留していること。
(2)「定住者」の在留資格で5年以上継続して本邦に在留していること。
(3)難民の認定を受けた者の場合、認定後5年以上継続して本邦に在留していること。
(4)外交、社会、経済、文化等の分野において我が国への貢献があると認められる者で、5年以上本邦に在留していること。
(5)地域再生法に基づき認定された地域再生計画において明示された同計画の区域内に所在する公私の機関において、入管法に別途定め
   る活動を行い、当該活動によって我が国への貢献があると認められる者の場合、3年以上本邦に在留していること。
(6)入管法の高度専門職の基準に規定するポイント計算を行った場合に70点以上有している者で、次のいずれかに該当するもの
  ア、「高度人材外国人」として1年以上継続して本邦に在留していること。
  イ、3年以上継続して本邦に在留している者で、永住許可申請日から3年前の時点を基準として高度専門職令に規定するポイント計算
    を行った場合に70点以上の点数を有していたことが認められること。
(7)高度専門職令に規定するポイント計算を行った場合に80点以上を有している者であって、次のいずれかに該当するもの
  ア、「高度人材外国人」として1年以上継続して本邦に在留していること。
  イ、1年以上継続して本邦に在留している者で、永住許可申請日から1年前の時点を基準として高度専門職令に規定するポイント計算
    を行った場合に80点以上の点数を有していたことが認められること。

帰化申請

帰化とは?

帰化とは、外国人から国籍取得を希望する意思表示に対して、国家がその外国人に許可を与えることによって、外国人がその国の国籍を取得する制度です。日本では、記かの許可は、法務大臣の権限とされています。(国籍法第4条)
法務大臣が帰化を許可した場合には、官報にその旨が告示されます。帰化は、その告示の日から効力を生ずることになります。(国籍法第10条)
帰化しようとする外国人は、無国籍であるか、原則として帰化によってそれまでの国籍を喪失することが必要です。例外として、本人の意思によってその国の国籍を喪失することができない場合については、この条件を備えていなくても帰化が許可になる場合があります(国籍法第5条第2項)。

帰化の要件

帰化の一般的な条件には、次のようなものがあります(国籍法第5条)。
また、これらの条件を満たしていたとしても、必ず帰化が許可されるとは限りません。これらは、日本に帰化するための最低限の条件を定めたものです。

 住所条件(国籍法第5条第1項第1号)
帰化の申請をする時まで、引き続き5年以上日本に住んでいることが必要です。なお、住所は、適法なものでなければなりませんので、正当な在留資格を有していなければなりません。
 能力条件(国籍法第5条第1項第2号)
年齢が18歳以上であって、かつ、本国の法律によっても成人の年齢に達していることが必要です。
 
 素行条件(国籍法第5条第1項第3号)
素行が善良であることが必要です。素行が善良であるかどうかは,犯罪歴の有無や態様,納税状況や社会への迷惑の有無等を総合的に考慮して,通常人を基準として,社会通念によって判断されることとなります。
 
 生計条件(国籍法第5条第1項第4号)
生活に困るようなことがなく、日本で暮らしていけることが必要です。この条件は生計を一つにする親族単位で判断されますので、申請者自身に収入がなくても、配偶者やその他の親族の資産又は技能によって安定した生活を送ることができればこの条件を満たすこととなります。
 重国籍防止条件(国籍法第5条第1項第5号)
帰化しようとする方は、無国籍であるか、原則として帰化によってそれまでの国籍を喪失することが必要です。なお、例外として、本人の意思によってその国の国籍を喪失することができない場合については、この条件を備えていなくても帰化が許可になる場合があります。(国籍法第5条第2項)
 憲法遵守条件(国籍法第5条第1項第6号)
日本の政府を暴力で破壊することを企てたり、主張するような者、あるいはそのような団体を結成したり、加入しているような者は帰化が許可されません。
帰化の要件

 なお、日本と特別な関係を有する外国人(日本で生まれた者、日本人の配偶者、日本人の子、かつて日本人であった者等で、一定の者)については、上記の帰化の条件を一部緩和しています(国籍法第6条から第8条まで)。
 また、日常生活に支障のない程度の日本語能力(会話及び読み書き)を有していることが必要です。

帰化許可申請の必要書類

帰化許可申請に必要となる主な書類は,次のとおりです。

No    書類名                      補足事項
1帰化許可申請書申請者の写真(5㎝×5㎝)が必要になります。
2親族の概要を記載した書類申請人以外の同居の親族・配偶者・親・子・兄弟姉妹・両親・内縁の配偶者・婚約者等です。
3帰化の動機書動機書は、申請者本人が自筆する必要があります。(特別永住者・15歳未満は不要です。)
4履歴書仕事内容を記載。生活を営むことが出来ることの裏付けです。配偶者に扶養されていても可。
5生計の概要を記載した書類申請者・配偶者、生計を一にする親族の申請の前月分の収入・支出を記載します。預金残高証明書等を添付。
6事業の概要を記載した書類申請者が個人事業主・会社の経営者・会社の役員の場合、必要です。確定申告書等を添付。
7住民票の写し申請者以外にも配偶者や同居人が日本人の場合、その方の住民票も必要です。
8国籍を証明する書類母国の国籍証明書の他、パスポート写し、申請者の身分証明書等が必要です。
9親族関係を証明する書類母国の戸籍・除籍謄本等が必要です。
10納税を証明する書類直近2年分の所得税・住民税納付証明書、消費税納税証明書等が必要になります。
11収入を証明する書類給与所得の源泉徴収票等が必要になります。
12その他の書類その他、申請に際して求められた追加書類等。
帰化許可申請に必要な書類(法務省:国籍Q&Aより)


国籍を証する書面及び身分関係を証する書面については、原則として本国官憲が発給したものを提出する必要があります。
なお、申請者の国籍や身分関係、職業などによって必要な書類が異なりますので、申請に当たっては、法務局・地方法務局に御相談ください。

帰化許可申請者数の推移 ※直近10年間の実績

年度帰化申請者 総数帰化許可者 数許可(韓国朝鮮)許可(中国)許可(その他)不許可者数
平成24年9,94010,6225,5813,5981,443457
平成25年10,1198,6464,3312,8451,470332
平成26年11,3379,2774,7443,0601,473509
平成27年12,4429,4695,2472,8131,409603
平成28年11,4779,5545,4342,6261,494607
平成29年11,06310,3155,6313,0881,596625
平成30年9,9429,0744,3573,0251,692670
令和元年104,5678,4534,3602,3741,719596
令和2年8,6739,0794,1132,8812,085900
令和3年9,5628,1673,5642,5262,077863
帰化申請人数推移:法務省民事局(単位:人)

最近10年間の我が国の帰化申請人数実績は、上記一覧表の通りです。毎年、1万人前後の申請数に対して不許可の比率は5%前後で推移していましたが、令和2年、令和3年は約10%が不許可の申請となっていて、難易度が上昇している状況です。

帰化許可申請のまとめ

以上が、「帰化許可申請」についての概略説明です。帰化申請は、一般的な許認可とは異なり個別事情により、求められる書類が増加する場合があります。いずれにしても「帰化の要件6項目」がすべて満たされる場合は、許可される要素が高まるといえます。
帰化申請をお考えであれば、本人申請が可能な申請です。しかし、多数の書類を収集したり申請書を間違えないで作成するのは、労力が必要な作業になると思います。もし、帰化申請でお困りの場合は、お気軽にご相談下さい。当事務所が全力でサポート致します。